商店街数珠つなぎ
南部鉄器の街路灯など 盛岡らしさをアピール
盛岡駅前商店街は、1日の乗降客が4万人を数える盛岡駅の東口に発展したまちです。「緑豊かな街、芸術の香り高い鉄器の古里」をテーマに、観光客らに盛岡らしさをアピールする多彩な演出が魅力になっています。
2色のカラータイルで南部古代型染の幾何学模様をデザインした歩道には、南部鉄器の街路灯、御影石のベンチなどを設置し、黄色と赤で鮮やかに紅葉するイタヤカエデとナナカマドを植栽。さらにカラー歩道には、盛岡の伝統芸能であるさんさ踊りと初夏を彩る伝統行事チャグチャグ馬っこを表現した4種88枚の南部鉄器タイルをはめこみ、盛岡らしさを強調。県内外からのお客様を迎える盛岡の表玄関にふさわしい装いです。
コンベンション誘致が 商店街を潤す
近年は、駅西口に二つの大型コンベンション施設がオープンし、東口にはビジネスホテルが相次いで開業。全国規模の大会や学会などが数多く開催されることで、地元商店街にも計り知れない好影響を及ぼしています。
盛岡駅前商店街振興組合の笹井岳雄事務局長は次のように話します。「コンベンション施設、ホテルともに駅前商店街から歩いて数分のところにあります。全国大会、学会が開かれた時、駅前の施設はフル稼働するわけです。組合員に小売店は少ないですが、飲食店やホテル、理容・美容のお店がたくさんあって、郊外型ショッピングセンター進出で苦しんでいる商店街が多いなか、コンベンション誘致は、商店街にとって大きなプラス材料。とてもありがたいことです。来年10月には岩手国体が開催されます。県外からたくさんの人に来てもらい、岩手の食、お土産などを楽しんでいただければと願っています」
空襲被害から 奇跡の復興を果たす
東北本線開通に合わせて、盛岡駅が開業したのは1890(明治23)年11月1日のこと。この年の10月28日には北上川に開運橋が架けられました。
1945(昭和20)年3月10日未明、盛岡駅前は突然の空襲に襲われます。米軍の大型爆撃機1機が飛来し、盛岡駅周辺に大量の焼夷弾を投下。盛岡駅前は一瞬にして火の海と化し、4人が亡くなり、147戸が全焼。焼け残ったのは10戸のみという甚大な被害を受けました。駅前の人たちは住む家がないまま終戦を迎えましたが、持ち前のバイタリティで復興を果たし、今の発展した姿があります。
1982(昭和57)年6月23日、待望の東北新幹線(盛岡~大宮)が開業。新幹線時代にふさわしいまちづくりを目指して、盛岡駅前商店街の環境整備事業が行われたのはその前年のこと。南部古代型染をモチーフにしたカラー歩道などはこの時に整備されたものです。
アイデアいっぱい “開運”商店街
盛岡駅前という恵まれた立地条件に甘えることなく、旺盛なチャレンジ精神で新しいことへの挑戦を続けています。2009年の開運橋架橋120周年を契機に、開運をテーマにしたまちづくりがスタート。商店街のマスコットとして新たに誕生したご当地キャラの「開運かなえちゃん」「開運たまえ」は、その縁起の良い名前から各種イベントで大人気。商店街の一角に鎮座する開運神社は、縁結びにご利益があるということで訪れる人が絶えません。
開運神社
開運かなえちゃん
笹井事務局長
商店街の各店舗が選んだ百円商品を店頭で販売し、お店とお客さんとの縁を結ぶイベント「開運百縁商店街」は隔月第三土曜日午前11時から午後2時の開催。「お客さんとのふれあいを大切にした企画で、好評です」と笹井事務局長。
盛岡駅前地区商店街連合会による「北の民謡市場」は新鮮な野菜、果物、魚介、お惣菜などの店舗が並び、毎週水曜日と金曜日、正午から午後4時まで、ホテルメトロポリタン盛岡ニューウイング前の階段下で開かれます。ほかにも日本一笑顔のある商店街を目指してのスマイルコンテスト、駅前商店街の新名物「盛岡じゃじゃ味噌丼」などアイデアに富んだ企画がいっぱいです。