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四季折々の中津川

命が息吹く 春の中津川を楽しむ

川原橋付近の桜吹雪

盛岡市役所裏の桜並木
盛岡市役所裏の桜並木
本町の商店主の集まりである本町振興会は、中津川にサケの稚魚を放つ「さけの赤ちゃん放流会」を平成6年から続け、ことしで21回目を迎えました。幼稚園児や地元子供会のほか、一般市民も参加し、3月中旬、擬宝珠の橋として有名な上の橋下流で行われるこの放流会は、春の訪れを感じさせる中津川の風物詩として定着しています。
中津川のせせらぎを聞きながら育った本町振興会の松本静毅さんは、「小学校にプールがなかったので、川をせきとめて遊泳場をつくり、そこでよく泳ぎました。プールの完成と前後して、川に大腸菌が見つかり、遊泳禁止になった時期もありました」と、川遊びに夢中だった少年時代の日々を振り返ります。
 中津川を知り尽くす松本さんは、春の見所について次のように話しています。
岩手女子高校裏のソメイヨシノ
岩手女子高校裏のソメイヨシノ
「盛岡市民にとってわかりやすいのは桜です。岩手女子高校のあたり(川原橋付近)をメインにして、下流から上流まで歩くと、あちこちに桜が咲いています。桜を見ながら散歩が楽しめる有数な場所、恥ずかしくない立派な景観だと思います。岩手公園や高松の池のような桜の観光地としての景観ではありませんが、川の流れから河原の雑草まで春を感じながら、歩いて楽しめます」

春の使者、上の橋のスイセン

上の橋たもとに咲くスイセン
上の橋たもとに咲くスイセン
子供たちに川遊びを楽しんでもらおうという夏のイベント「どんど晴れ中津川」や春の河原清掃などの活動を続けるNPO法人もりおか中津川の会の寺井良夫さんに、中津川の魅力をたずねると、「日本中探しても、こんなにいい川はないと思います。サイズは大き過ぎず、小さ過ぎず、深くもない。河原を気持ちよく歩けます。ほとんどの川が、掘割のようなかたちで河原がなかったり、河原が広くて殺風景だったりします。河原が大きいと、水が遠くにあって味気ないですね。中津川は貴重な存在です。河原をゆっくり歩いて楽しんでもらいたいです」との明快な説明をいただきました。
ござ九の白壁と市役所裏のシダレザクラの景観
ござ九の白壁と市役所裏のシダレザクラの景観
中津川の春のオススメスポットをお聞きしたところ、寺井さんは「春一番、河原に下りるとスイセンが咲いています。上の橋上流のところです。これがとてもきれいです。東大橋から御厩橋にかけて中津川沿いに河原を歩くと、平安閣があったところの川側や市役所裏、下ノ橋のところなど、いろいろな桜が楽しめます。ござ九の白塀とシダレザクラ(の景観)や岩手女子高校あたりの桜がとてもきれいですね」。川沿いに桜が咲き誇る春の中津川を散策するのが待ち遠しい様子です。

春を待つミズバショウ

富士見橋上流の河原でかれんな花を咲かせるミズバショウ
富士見橋上流の河原でかれんな花を咲かせるミズバショウ
富士見橋上流の河川敷には、春になると、小ぶりでかわいらしい花を咲かせるワスレナグサとともに、緑と白のコントラストが美しいミズバショウが可憐な姿をあらわします。
「県庁所在地の市街地にミズバショウが咲くのは盛岡市だけ。中津川の環境がいい証しです」と話すのは、ミズバショウの保護活動に取り組んでいる中津川の水芭蕉を守る会の安原昌佑会長。平成15年の会設立以来、中津川を管理する国土交通省の許可を得て、会員所有の山から採取したミズバショウを、地元の下小路中学校科学部の生徒と一緒に河川敷に植え、大切に育てる活動を続けています。現在、中津川のミズバショウは百株ほどになっているそうです。
ミズバショウは湿原や林の湿地など水辺を好み、乾燥に弱い植物。どうして水辺から遠い河川敷で育つのかというのがちょっと不思議。これについて安原会長は「ミズバショウが咲くところは、もともと中津川の流れがあった場所で、下を伏流水が流れ、掘ると水がわいてきます。乾燥から守るため、木を植えて日陰を作るようにもしています」との答えでした。市民が守り育てる清流のシンボル、ミズバショウは4月下旬から5月上旬にかけて見頃を迎えそうです。